BOSS SD-1 WAZA Mod


BOSS SD-1Wの解析により、WAZA CRAFTでのカスタムモードの内容が明らかになりました。これを参考に、スルーホール部品版SD-1をSD-1W風にモディファイしてみました。やってみたいと思われる方は他にいないかもしれませんが、勝手に「WAZA Mod」と呼ぶことにします。(BD-2のWAZA Modはこちらのページへ)



値を変更したり部品を追加したりした部分を下図の赤字で示しています。

JFET(Q5、Q99)は基本的に何を使っても問題なさそうですが、現行品のスルーホール部品なら2SK2881が低雑音・低オン抵抗でよさそうです。

【Bleed Fix】
スルーホール版SD-1では、DRIVEを上げている状態だとバイパス音に歪み音がわずかに混ざることが知られています。
・参考ページ→The Boss SD-1 Super Overdrive bleed issue
この問題を解決するために、SD-1Wに倣ってオペアンプの入力前にFETスイッチを追加しました(R98、Q99、D99追加)。500Hzの正弦波を入力し、効果を確認しました。

歪み音が混ざっていた影響による倍音成分がありましたが、それがなくなったのがわかります。※1kHzは入力バッファでの歪み

【入力バッファ・ハイパスフィルタ等の変更】
・C1: 47nF → 1μF
・R2: 470kΩ → 1MΩ
・Q5: 2SC2240-GR → 2SK880-GR
・C8, C9: 47nF → 10uF
・R12, R13: 1MΩ → 100kΩ
・C7: 1μF → 10μF
・R11, R14: 22kΩ → 0Ω

【S←→C切替】
R99、C99、R96、R97、C98を追加し、SD-1Wのカスタム・モードへDPDTのスイッチで切り替えできるようにします。R96、R97、C98では高音域を落とすことにより、カスタム・モードで後段に追加された増幅部の周波数特性を再現しています。

下写真がモディファイ後の基板です。電源部の電解コンデンサC11、C17もついでに新品に交換してあります。10μFの電解コンデンサは手持ちの関係で無極性のものが使ってありますが、特別な意図はありません。

部品、配線材が動きやすい所は後でホットボンドで覆いました。

DRIVEポットの向きを変えると、スイッチを入れるスペースができます。ポットの端子がケースに接触しそうになるので、熱収縮チューブ等で対策しておきます。

たまたま3PDTのトグルスイッチを持っていたので、モードでLEDインジケータの色も変わるようにしました。



実測した周波数特性は下図です(DRIVE 0% TONE 100% LEVEL 100%)。

音量は少し違っていますが、かなり近い周波数特性の形を得ることができました。

タグ : 市販エフェクター 歪み 

BOSS WAZA CRAFT SD-1W SUPER OverDrive 解析


BOSS BD-2Wに引き続き、SD-1Wを解析しました。KiCadデータ(基板画像入り)とLTspiceの回路図データはGitHubにあります。



▽回路図
BOSS SD-1W schematic
BD-2Wでは、オペアンプの増幅となっている部分がディスクリート構成へと変わっていました。今回のSD-1Wでも同様の回路となっており、特に目新しい部分はないようです。オペアンプ2回路分の増幅に、カスタム・モードでもう一段増幅部が追加されています。



▽シミュレーション
  • 初段増幅部(DRIVE 0% → 50% → 100%)

    カスタム・モードでは増幅率が上がります。DRIVEが低い時以外は周波数特性の変化が少ないです。

  • カスタム・モードで追加された増幅部

    低音~中音域あたりが増幅されています。+2dB程度なので、あまりわかりやすい変化ではないかと思います。



【未実装の部品】

基板上には未実装の部品が多数あることが確認できます。KiCadファイルでは未実装の部品(Empty表記)も載せています。

ジャイレータ(シミュレーテッドインダクタ)等が構成されていて、周波数特性を変化させる検討をした様子をうかがい知ることができます。しかしながら結局は未実装になったということで、元のSD-1からそれほど離れない方がよいと判断されたのだろうと思います。


タグ : 市販エフェクター 回路図 歪み 周波数特性 

amPlug Classic Rock 解析


ジャンク品として手に入れたamPlug Classic Rockを解析しました。KiCadとLTspiceのデータはGitHubにあります。※amPlug2ではなく、旧機種のamPlugです。



▽回路図
VOX amPlug ClassicRock Schematic
公式ページに「UK製100Wアンプのハイゲインサウンド」と記載があるので、マーシャルアンプを意識していると思われます。多段増幅・多段クリッピングになっているのが特徴的です。TONEの後段は、キャビネットシミュレータだと思われます。電源は5Vに昇圧させてあり、供給電圧が2Vを下回ると電源部LEDが消灯するようになっています。



▽シミュレーション
  • 増幅部 (GAIN 1%→50%→100%)

    C67はGAINを下げた時に高音域を通過させる働きがあり、通常のアンプではBRIGHTスイッチとなっていることが多いです。非反転増幅回路が4段ありますが、そこでの低音域のカットはそれほど大きくありません。ダイオードクリッピングは非対称で、オペアンプでの歪みも加わっています。

  • TONE 0%→50%→100%

    C80~C82あたりがマーシャルアンプにあるトーンスタックと同等の回路です。MIDは40%、BASSは70%ぐらいに固定で、TREBLEのみ動かす形となっています。後段にあるC83とR89の影響で、高音域が低下し複雑な動きになっています。このような抵抗とコンデンサはMarshall Schematicsというページでは見つかりませんでしたが、MESA Boogie Dual Rectifier等、他のメーカーでは入っているものがありました。

  • キャビネットシミュレータ

    トランジスタによるジャイレータ(シミュレーテッドインダクタ)を使った増幅と、オペアンプ正帰還型ローパス・フィルタです。アナログのキャビネットシミュレータを設計したい場合参考になる回路だと思います。実物のインパルスレスポンスよりも低音域が大きくなるよう設計してあるようです(参考ページ→DTM 宅録用にアナログキャビネットシミュレータを自作)。

---2024年2月25日追記---

別のジャンク品を入手したので、キャビネットシミュレータ部分の部品を取り外す等の改造を行ってペダル化しました。ヘッドフォンの接続はできません。アンプライクな歪みとして使えそうな感じです。

あまりしっかりしていませんが、ホットボンドでなんとか基板を固定しています。ケースは、エフェクターケース製作用基板を使いました。

タグ : 回路図 歪み 周波数特性 市販エフェクター アンプ 

VEMURAM Karen 解析


VEMURAMのエフェクターは、基板の一部がモールドされていることが知られています。今回は比較的部品数が少ないKarenが手に入ったので、解析に挑戦してみることにしました。

基板は4層で、トップ面と底面は一面ベタグラウンドになっています。おそらく配線を隠すためでしょう。トップ面と底面の銅箔を削り取るのはなかなか大変な作業でした。KiCadデータ(基板画像入り)、LTspiceの回路図データはGitHubにあります。



<モールドとの闘い>


ICやFETらしきもの、クリッピングダイオード周辺回路が黒いモールドに覆われています。このモールドは、燃料用アルコールに漬けると少し柔らかくなりました。

ICは燃料用アルコールに漬けた後に爪で削るとうっすらと文字が見え、RC4558Pだとわかりました。

FETらしきものも同様に表面を慎重に削りましたが、型番は出てきませんでした。パーツアナライザで調べると、NPNトランジスタだとわかりました。このトランジスタはグラウンドだけに繋がっていて(下写真)、特に意味はないようです。公式ページでも「Transistors: N/A」という記載となっています。


モールドは熱で溶け、ニオイはキツくなかったので、半田ごてを使って削り取っていきました。しかしこれは失敗で、抵抗の表面が削れたりダイオードが破損したりしてしまいました。

抵抗はジャンパーで、破損がなかったダイオードはBAT85Sという印字が見えました。破損したダイオードは「AT」の文字が見えたので、破損がなかったダイオードと同じ型番と判断しました。回路図の記号を変更し忘れていますが、ショットキーダイオードです。




▽回路図
Vemuram Karen schematic
オペアンプの非反転増幅で構成されています。C6は「Tri-sound」表記のコンデンサ(下写真)で、特注品のようです。回路図には実測した容量を記載しました。


Gain widthトリマーは、Gainポットに並列に抵抗を入れて調整幅を変えるという仕組みです。この場合、Cカーブのように最小値側でゲインがすぐに上がる状態になるため、あまり調整しやすくないように思います。



▽シミュレーション
  • 回路全体 (Gain width 100% Tone 50% Gain 0%→50%→100%)

    TUBE SCREAMER(DRIVE 100% TONE 50%)、ProCo RAT(DISTORTION 100% FILTER 50%)を参考として掲載しました。Karenは少し低音域側に寄った特性となっています。

  • Tone 0%→50%→100%

    BJF設計のペダル(→ANODIZED BROWN DISTORTION 4K)等で見られるトーンコントロール回路の形ですが、C12があることにより高音域が盛り上がった特性になっています。

---2024年1月30日追記---

PedalPCBのフォーラムで、別の個体のクリッピングダイオードもBAT85Sであることが確認されました。ただ、ダイオードの片方が最初から壊れていたとのことでした。実は私が解析した個体も、分解前からD1が壊れていました。これは偶然の一致なのでしょうか…。

そこでさらに別の個体を入手しました。ロット番号からすると初期に近い個体のようです。

この個体はダイオードは壊れていませんでしたが、R5が22kΩでした。考えられるのは、あるロット以降では片方のダイオードが意図的に破壊され、歪みにくくなったためにR5が150kΩに変更されたという可能性です。意味のないトランジスタを実装するくらいなので、このようなことが行われるのもあり得るように思います。

タグ : 市販エフェクター 歪み 回路図 周波数特性 

Caline CP-60 WINE CELLAR 解析・改造


Tech 21 SansAmp Bass Driver DI (以下BDDI)関連の解析や製作を今までいろいろと行ってきました(タグ:SansAmpBDDI)。そして最近新たにCaline CP-60 WINE CELLARというBDDIのクローンらしきエフェクターを見つけたので、解析することにしました。KiCadデータ(基板画像入り)はGitHubにあります。



▽回路図
Caline CP-60 WINE CELLAR schematic
C1、C25の値やバランス出力部への接続が同じなため、BEHRINGER BDI21を元にしていると考えられます。意図は不明ですが、バイパス部にトランジスタ2つを使ってバッファが組んであったり、ハイパスフィルタが追加されていたりする等の変更点があります。また、いくつかのコンデンサ(C9、C12、C13、C22、C23)がBDI21より大きい値になっています(発振対策かもしれません)。

気になるのが低音域の減衰です。バイパス音がどうなるかシミュレーションしました。

BDDI V1初期型でも少しは低音域の減衰がありますが、CP-60ではさらにカットされています。



【改造】
BDDI V1初期型に近づける改造を行いました。オペアンプは手持ちのものを使いましたが、他はほぼ同じです。

ファンタム電源対応のバランス出力は、定格電圧が高く容量が大きい両極性電解コンデンサを使用するのが望ましいです。ただ、そこまでやろうとすると別基板の追加が必要となり手間がかかり過ぎるので、バランス出力自体を使用しないようにしました。

周波数特性をBDDI V1初期型と比較しました。

谷となる周波数が少しズレています。BDDI V1初期型に使われている高誘電率系積層セラミックコンデンサは20年以上前のものなので、特性変化や経年変化が大きいと考えられます。

タグ : 市販エフェクター 歪み 回路図 SansAmpBDDI 

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