回路図メモ

解析記事を書くまでの間、一時的に回路図を公開しておくためのページです。



Ibanez TS9

Ibanez Tube Screamer TS9 Schematic
Ibanez Tube Screamer TS9 Schematic
(2024年2月25日掲載)

タグ : 回路図 

エフェクター電源はなぜセンターマイナス仕様なのか



コンパクトエフェクターのDCジャックはチップ(センターピン)がマイナス、スリーブがプラスとなるセンターマイナスが主流となっています。この場合、通電状態だとプラグ外側のスリーブ(+)が機器の金属ケース等のグラウンド(GND)部分に触れてショートが起こり、電源供給側が故障する等の危険性があります。なぜこのような難点があるのにセンターマイナスが採用され続けているのか考えてみます。



【センタープラスは不可能なのか】


上図はセンターマイナス仕様で電池を併用する場合の一般的な配線です。モノラルフォンプラグを入力ジャックに挿入した時、入力ジャックのリング(電池のマイナス)とスリーブ(GND)が繋がって電源オンになります。DCプラグ挿入時は、DCジャックの2番ピンと3番ピンの接点が離れることにより電池と外部電源が切り替わります。図の右側は、DCジャックを介して電源供給した場合に、常に(入力ジャックにプラグが無くても)電源オンになるパターンです。

入力ジャックが電源スイッチになっているとセンタープラスが無理なのではないかという考えが出てきますが、下図の配線であれば問題ありません。ただ、電池駆動のみのエフェクターにDCジャックを増設する場合、センターマイナスの方が配線の入れ替えが簡単だという事情はあったかもしれません。




【BOSSの影響】

センタープラスの配線はそこまで込み入っているわけではなく、センタープラスを採用するメーカーがあっても不思議ではありません。そこで影響力が大きかったのが、大手エフェクターブランドのBOSSでしょう。BOSSがセンターマイナスを採用したため、それが標準として広まったのではないかと思います。ではなぜBOSSでセンターマイナスが採用されたのでしょうか。
  • センターマイナスの機器が多かった
    通常の電子機器では電源のプラス側にスイッチがあります*1。プラス側で電池と外部電源を切り替えるとなると、DCジャックは必然的にセンターマイナスにする必要が出てきます(実際1990年頃まではセンターマイナスのACアダプターが多かったらしい)。しかし、エフェクターではすでに電池のマイナス側を電源スイッチにしています。また、DCプラグの抜き差し頻度が高めで、周りには金属ケース等のショートする要因(GND)があふれているので、他の機器とは状況が違うように思います。

    *1 電気工事士技能試験では、感電等の事故防止のため非接地側(+)にスイッチを入れることとされています。ただしエフェクターのような低電圧の小型機器では、電源マイナス側のスイッチでもよいことが多いと思います。

  • 接触不良対策
    DCジャック・プラグの構造上、スリーブ側よりチップ側の方が接触不良が起きやすいです*2。非絶縁型のパワーサプライや分岐DCケーブルで複数のエフェクターを接続している場合、シールドケーブルとDCケーブルでGNDが繋がるため、チップ(GND)の接触不良時に電源供給が途絶えないという利点があります。特にバッファードバイパスだとバイパス時も電源が必要なため、電源は死活問題です。

    *2 チップ側の接触が安定するよう工夫されたフォークタイプのプラグがあります。

  • センタープラスでは電池と衝突するNana's Effectorさんからご指摘いただきました。)
    下図はDCジャックの内部構造で、プラグを挿入する時はチップが最初に接触します。抜き差しする時、チップだけが接続される瞬間があるということになります。(マル信無線 MJ-10 データシートより抜粋、改変)

    また、下写真のようにプラグが外れかかっていると、チップだけが繋がっている状態(半挿し)になります。

    この状態を踏まえて、センタープラスのエフェクター2台に外部電源を分岐させて接続する場合を以下に示します。

    GNDはシールドケーブル、DCケーブルによって全て接続されています。下側のエフェクターにDCプラグを挿入する途中(もしくは半挿し状態の時)、外部電源のプラスと電池のプラスが繋がっている状態になり、電池や外部電源に悪影響を及ぼします。このような状況を想定してセンタープラスが採用されなかった可能性が考えられます。



結局のところ真実はどうなのかはわかりませんが、今後もセンタープラスが採用されることはなさそうです。DCプラグの抜き差しをする時は、ショート事故防止のため必ず外部電源をオフにしておくように習慣づける必要があるかなと思います。

「ボリューム」で考える入出力インピーダンス

ギタリスト、ベーシスト、エフェクター設計者にとってのインピーダンスに関する知識について、自分なりの考え方をまとめておきます。



  • オームの法則
    式の形はいろいろありますが、電流=電圧÷抵抗 という式が私にとって最もイメージしやすいです。漢字の印象の通り、抵抗が大きいと流れが悪くなります。ただ、水の流れで説明するのは少し無理がある気がするので、電気は「電気の世界」として慣れるしかないのかなと思います。以下の説明では電圧の大きさがそのまま音量になるものとして説明しています(電力で考えるべき場面については省略)。

  • 交流抵抗
    インピーダンスは「交流抵抗」と言われます。コンデンサやコイルは電流を流しにくくするという抵抗的な性質を持っているので、そういった抵抗的成分を全てひっくるめてインピーダンスと呼ぶということです。コンデンサやコイルは周波数によって電流の流しにくさが変わります。しかしそこまで複雑に考える必要はなく、コンデンサやコイルも単に抵抗の一種と考えればよいです。※ダイオード、トランジスタ、オペアンプ等、電流が流れるところは全てインピーダンス

  • 出力インピーダンスと入力インピーダンス
    機器の内部回路は無視し、出力や入力に抵抗があるとみなします。これが出力インピーダンス、入力インピーダンスです。

    「ハイインピーダンスな信号」は出力インピーダンスが高い機器から出力された信号という意味合いです。具体的な入出力インピーダンスの値は、機器の説明書に記載してあります。

  • 抵抗分圧、ボリューム
    機器同士を接続したとき、抵抗器と抵抗器で電圧が分割される(抵抗分圧)ので、音量が低下します。ボリューム(ポテンショメータ、可変抵抗)をイメージするとわかりやすいと思います。

     例:Rout = 100 Rin = 900 だと出力電圧は 0.9倍
    ロー出し・ハイ受け(=出力インピーダンスが低い機器と入力インピーダンスが高い機器を接続する)という原則を守れば、音量低下が少なくて済むというわけです。
    • 入力インピーダンスが高い場合
      音量低下が少ないですが、ノイズを拾いやすくなります。外来ノイズを出力インピーダンスが高い信号源ととらえると、入力インピーダンスが低い方がノイズレベルを低下させられることがわかります。

      常に高い入力インピーダンスがよいというわけではなく、通常は機器のギター・ベース本体を接続する入力のみ入力インピーダンスが高く設計されています。

    • 出力インピーダンスが高い場合
      入力インピーダンスが低い機器に接続すると音量が下がります。同じ量のノイズが機器内部で乗ると考えると、音量が大きい方が有利です。


      コンデンサは、高い周波数を通しやすい性質があります。つまり周波数が高くなるほど抵抗が減ります(位相については省略)。あくまでイメージですが、高い周波数では抵抗値が低くなるので音量が減る→ハイ落ち状態になります。いわゆるローパスフィルタ(ハイカットフィルタ)です。

      信号経路のいたるところにコンデンサのような容量成分は潜んでおり(寄生容量・浮遊容量)、特にシールドケーブルは容量成分が多いです。できるだけハイ落ちを防ぐため、出力インピーダンスを低くしておくほうがよいということになります。

      上記ローパスフィルタのコンデンサと抵抗を逆にした、ハイパスフィルタ(ローカットフィルタ)も機器間の接続で形成されています。ほとんどの機器の出力にはコンデンサがあるためです。ただし、通常はコンデンサの容量が充分大きい、または次に接続する機器の入力インピーダンスが高いので、問題になることはあまりありません。

  • 現実的な対処
    「出力インピーダンスが高い機器」に当てはまるのは、アクティブサーキットを搭載していない(=パッシブ仕様の)ギター・ベース本体です。ノイズ過多や高音域劣化を防ぐため、通常は「ギター・ベース本体→入力インピーダンスが高く出力インピーダンスが低い機器(バッファ等)」という接続を最初に行うことになります。

    ギター・ベースのピックアップはコイルやコンデンサが絡むので複雑です。最初に接続する機器やそれに繋ぐシールドケーブルによって周波数特性が変わるため、これらの選択は特に重要となります。以下に例を挙げておきます。

    入力インピーダンスが低い機器に接続した場合は、高音域側が大きく減少します。

    ※Fuzz Faceのように、入力インピーダンスが低くてもギターを直接接続することが望ましいエフェクターも一部存在します。

    シールドケーブルが長くなり容量成分が増えると、高音域が減少します。また、シールドケーブルの種類によって容量が違うため、音質が変わります。


    機器の入力部にコンデンサが入っている場合は、シールドケーブルと同様に容量が増えるため音質が変わります。

    どの程度の容量なのかは説明書に記載がないことが多いので厄介です。結局のところ、気に入った音にするにはいろいろな機器を試してみるしかないかもしれません。

SansAmp Bass Driver DI 回路図集

各機種の解析記事を書く予定ですが、ひとまず回路図のみ載せておきます。

▽ BEHRINGER V-TONE BASS DRIVER DI BDI21 schematic
09_282_05_behringer_bdi21_schematic.png

▽ Tech 21 SansAmp Bass Driver DI V1 Early Model (one slide switch) schematic
09_283_05_tech21_sansamp_bass_driver_di_v1e_schematic.png

▽ Tech 21 SansAmp Bass Driver DI V1 Late Model (three slide switches) schematic
09_284_05_tech21_sansamp_bass_driver_di_v1l_schematic.png

▽ Tech 21 SansAmp Bass Driver DI V2 schematic
09_285_05_tech21_sansamp_bass_driver_di_v2_schematic.png

いろいろなPT2399

今までに入手した印字が違う4種類のPT2399についてメモしておきます。

22_272_1pt.jpg
・PTCロゴ、たぶん本物
千石電商で購入(現在は販売なし)。秋月電子や共立エレショップの商品写真もこれ。


・DTC
わざと「DTC」にしたのだろうか、偽物感が強い。AliExpressで購入(10個1.5ドル)。


・|PTC|
なぜか縦棒が入っている。AliExpressで購入(10個1.5ドル)。


・PTCロゴ、半角っぽい文字
PTCロゴがデータシート記載のものと同じ。AliExpressで購入(10個1.42ドル)。



それぞれ特性を測定し比較してみたのですが、ノイズが多かったり、ディレイがかからなかったりといった不具合があるものは見つかりませんでした。耐久性は不明ですが、動作が全く違うニセモノというのは案外ないのかもしれません。

---以下2021年8月23日追記---

Reincarnation ChorusのPT2399を最下段のもの(半角っぽい文字)にすると、本物では出ていなかったクロックノイズが発生しました(「DTC」「|PTC|」については手元になくどうなのかわかりません)。通常のディレイ用途でも、やはり本物(最上段)を使う方が安心だと思います。

管理人

管理人

自己紹介のページ
記事一覧
X(旧Twitter)
Instagram
GitHub
BOOTH

ブログ内検索
カテゴリー
タグ

回路図   自作エフェクター   歪み   周波数特性   市販エフェクター   レイアウト   マイコン   波形・倍音   PureData   RaspberryPi   エレキギター   アンプ   歪率   エレキベース   エフェクター自作方法   コーラス   真空管   ピックアップ   静音ギター   SansAmpBDDI   ヘッドフォンアンプ   擬似ギター出力   ブースター   アコースティックギター   ソロギター   イコライザー   ポールピース   コンデンサ   コンプレッサー   ディレイ   TAB譜   DIY_Layout_Creator   ビブラート   フェイザー   トレモロ   バッファー   ワウ   オートワウ   

最近の記事
最新コメント
RSS
メールフォーム
当ブログに関するお問い合わせはこちらからお願いします。 ※FAQ(よくある質問)もお読みください。

お名前
メールアドレス
件名
本文

アクセスカウンター