FZ-1WVL


以前アクリル筐体のFuzz Faceを製作したのですが、ファズに関する知識があまりない頃に作ったものなので、何となく中身を作り直したくなりました。そこで、最近解析したBOSS FZ-1Wを簡略化したものを入れることにしました。「VL」はヴィンテージモード、ライトバージョンという意味合いです。

▽回路図

内部スペースがあまりないため、トゥルーバイパスでヴィンテージモードのみとしました。トーンは省くことも考えましたが、やはり必要だろうと思い、トリマーで調整できるようにしています。電源はできるだけ簡略化せず、誤って18Vを入力しても大丈夫なように配慮しました(参考→BD-2W)。ラッチングリレー周辺はGEOのLatching Relay Bypass Circuitを元にしたものです。以前は9V仕様でしたが、電池の減りで安定動作しなくなる可能性を考え5Vとしました。

メインのトランジスタ2SC5395Fはサトー電気で100個購入していたのですが、運が悪かったのかhFEが340以上のものがありませんでした。仕方なく320~330程度のものを使用しています。

一番問題だったのがポットで、Cカーブ5kΩのネジ部がない小型ポットがなかなか見つかりません。PT01-D120D-A502というものがあったのですが、逆対数という表記なのに実際はAカーブ(対数)となっています(そのうち表記が修正されるかもしれません)。とりあえず、AliExpressにあったメーカー不明のものを購入しました。少しカーブの変化が急な気がするものの、問題なく使えています。

基本的にはFZ-1Wと同じ音で、筐体が円形になったことで何となくファズフェイスに近くなったような気がします。ファズとしては部品点数がなかなか多いですが、トランジスタを選別せずR21をトリマーにするといった対応をすればクローン製作もやりやすいのではないかと思います。

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FF1815G(FFM2風ファズフェイス)


FF108B & FF1815に引き続き、無選別の2SC1815-GRを使ったファズフェイスを製作しました。今回は、ゲルマニウムトランジスタが使われているファズフェイスFFM2(Jim Dunlop GERMANIUM FUZZ FACE MINI)の音に近づけられるのかどうか検証してみます。



▽回路図

FFM2実機を分解するの少し大変なので、こちらのページの内部写真を参考にしました。FF1815と同様、トランジスタは2SC1815-GR(JCET製)です。周波数特性を合わせるため、コレクタ-ベース間のコンデンサ容量が大きめの値となっています。

FF108B & FF1815の記事で記載した通り、hFEを同じにしないと厳密に同じ音にすることはできないと思われます。ゲルマニウムトランジスタはhFEが低いものが多いため、それに合わせるためにトランジスタ2個と抵抗器1個を組み合わせる方法があります(参考ページ→Piggyback Si transistors to simulate Ger ???)。ただ、今回は手軽さを重視してトランジスタは単体で使用し、歪率や倍音構成が近くなるようにトリマーを調整しました。

▽周波数特性(VOLUME 100% FUZZ 100% 気温24℃)

FFM2では入出力のカップリングコンデンサの容量が大きく、低音域があまりカットされません。また、ゲルマニウムトランジスタはコレクタ-ベース間の寄生容量が大きく、高音域が下がっています。

▽波形・倍音
<FFM2>


<FF1815G hFE(Q1)=312 hFE(Q2)=312 Vc1=1.71V Vc2=4.04V>


歪率が低い時、FFM2のクリッピングは丸みを帯びた形です。倍音構成がキレイに斜めに並び、ややこもったように聞こえます。このあたりがゲルマニウムトランジスタらしさの要因ではないかと考えられます。動画でも注意深く聞くとこの特徴がわかるかと思います。



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FF108B & FF1815(FFM1風ファズフェイス)


Jim Dunlop SILICON FUZZ FACE MINI(FFM1)はトランジスタが選別されていたわけですが、個人で大量にトランジスタを買って選別するというのはあまり現実的ではありません。今回は無選別のBC108Bや2SC1815-GRを使ってファズフェイスを製作し、FFM1の音に近づけられるのかどうか検証してみます。



現在手に入りやすいトランジスタは、hFEが250より高いものだと思います。各トランジスタで動作点をシミュレーションすると以下のようになります。

<BC108B hFE=250>(FFM1解析の再掲載)


<BC108B hFE=400>


<2SC1815-GR hFE=300>


抵抗値がそのままだと、基準となる電圧がFFM1からズレることが分かります。このズレを修正し音質を補正するため、可変抵抗(トリマー)を設けます。いわゆるバイアス調整です。

▽回路図

回路は普通のファズフェイスです。FF1815ではトランジスタを2SC1815-GR(JCET製)に置き換えています。シリコントランジスタを使っている場合、一般的な定数で製作してもそこまで破綻した音になるということはないようです。

T1はQ1での歪み方を調整できます。ただ、Q1では元々かなり偏ったクリッピングになっている(FFM1解説参照)ので、音質変化はややわかりにくいです。R3+T1を22k~33kΩ程度の固定抵抗としてもよいでしょう。

T2でもQ1での歪み方やゲインが変化しますが、他のトリマーの設定が定まらなくなる原因になりがちです。結局ほとんど調整せず、R2+T2を100kΩとしています。

T3はQ2の動作点を調整できます。クリッピングの対称性、倍音構成が変わるということになります。ゲルマニウムトランジスタを使ったファズフェイスでは、Vc2が4.5Vになるように調整するとされていることがあります。もちろん、好きな音色になるよう自由に設定して問題ありません。

▽周波数特性(VOLUME 100% FUZZ 100%)

高音域が微妙に違っています。C2やC3を微調整することにより、もっと近づけることもできるかもしれません。



【バイアス調整】

FFM1ではVc1=1.34V Vc2=4.12Vだったので、単純に考えるとバイアス電圧をこれと同じにするとよさそうです。実際やってみると、同じ歪率の時の倍音構成は近くなります。しかし、同じ音量を入力した場合hFEが高い方がゲインが高く歪みやすいので、同じ動作にはなりません。FUZZコントロールを下げたり、入力に抵抗を入れることでゲインを下げることもできますが、そうすると微妙に周波数特性が変わってしまいます。結論としては、hFEを同じにしないと厳密に同じ音にすることはできないということになります。

以下は歪率や倍音構成がFFM1に近づくように調整し、測定したものです。hFEにより最適な調整値は変わってくるため、あまり参考にならないかもしれません。

<FFM1 hFE(Q1)=247 hFE(Q2)=245 Vc1=1.34V Vc2=4.12V>


<FF108B hFE(Q1)=303 hFE(Q2)=312 Vc1=1.39V Vc2=4.33V R2+T2=100kΩ>


<FF1815 hFE(Q1)=306 hFE(Q2)=305 Vc1=1.35V Vc2=4.35V R2+T2=100kΩ>


個人的にはそれぞれかなり近い音で、判別するのは困難だと感じました。そのうち動画にまとめたいと思います。(2023年10月16日 動画を追加)



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Nusora+


Nutube自作エフェクターコンテストで最優秀賞となったNusoraを、一般販売に向けてリニューアルしたものです(→販売ページはこちら)。いろいろな種類のギターに対応したり、個体差を調整したりする目的でコントロールを増やしてあります。名前は安直ですがNusora+(ニュソラプラス)としました。KiCadデータはGitHubにあります。

販売を考える上で重要になるのが、価格や製造効率です。特にケースは塗装や穴あけが大変で、外注だとコストがかかります。そこで今回は、基板を組み合わせた筐体を採用しました。組み立てて半田付けするのはやや手間がかかりますが、穴あけ・塗装・シルク印刷済のものが低価格で手に入るのは大きなメリットです。内部が一面銅箔なので、ノイズ面でも問題ありません。意外と強度もあり、思いっきり踏んでも大丈夫でした。

線材の被膜を剥いて半田付けするのもなかなか大変な作業なので、スイッチやジャック類は基板直付けです。ポットもできれば端子が長いタイプを直付けしたい所ですが、入手性・価格面を考え秋月電子で購入したポットにリード線を付けて使用しています。

Nutubeについてはマイクロフォニックノイズ対策のため線材で接続し、緩衝材のスポンジで包みます。

メインの基板はJLCPCBの部品実装サービス(PCBA)を利用しました(参考ページ→JLCPCB KiCadプラグインで簡単基板発注)。部品はJLCPCBのパーツライブラリから選びますが、BasicパーツとExtendedパーツに分類されています。Basicパーツだと、実装に追加費用がかからず安く済むということになります。



▽回路図
Nusora+ schematic
基本的にはコンテスト最優秀賞記念モデルということで、Nusoraと同じ音が出せるようにしています。Compトリマーを外部ポットにし、Toneコントロールを追加してあるだけで、ほぼ定数は変えていません。コンデンサがやたらと並列になっている所は、できるだけJLCPCBのBasicパーツを使うための措置です。

・Compコントロール

Comp 0% → 100%での波形変化を見てみると、音量や歪み方が変化していることがわかります。しかしながら実際に弾くとそこまで大きく変化する感じではなかったので、あくまでも微調整と考えてもらう方がいいかと思います。

・Toneコントロール

エフェクターに採用されることは少ない、チルト・イコライザと呼ばれる回路を使ってみました。少し高音域側の変化量が少ない設計です。低音域と高音域が同時に調整されるので、BOSS DS-1やビッグマフのトーン回路に似た感覚となっています。



Limetone Audio 今西さんのコンテストレポートにてNusoraの音を聞くことができます。



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ギター音再現機(Guitar Sound Reproducer)


ファズは入力インピーダンスが低いものが多く、ギターを直結した場合とバッファーを通して接続した場合で音が違います。音質を比較する際は再現性のあるギター出力が必要と考え、以前作った「擬似ギター出力」を改良したものを製作しました。本機に録音したギター音源を入力し、ピックアップから実際にギターを弾いた時とほぼ同じ状態の音を出力させます。出力のピックアップはCustom Shop Twisted Tele Pickupのブリッジ側です。

最初はピックアップを使わずに、シミュレーテッドインダクタ(ジャイレータ)を検討しました。Floating Inductorsにある回路を組んでみましたが、思うような特性が得られませんでした。うまくいけば簡単にピックアップの特性がシミュレートできるのですが、やはり実際にピックアップを使った方が説得力がある気がします。

そして参考にしたのはピックアップの特性測定に関する下記ページです。ピックアップに磁束を与える、ドライバーコイルと呼ばれる空芯コイルを使うこと、インテグレータという高音域が下がる特性(-6dB/octave)の装置を使うこと等が記載してあります。
Measuring the Electrical Properties of Guitar Pickups
Integrator(積分器)はローパスフィルタ(LPF)と同じ働きのため、以下ではLPFと記載します。

ドライバーコイルはいろいろと検討しましたが、外径0.16mmの2UEWポリウレタン銅線を70回程度巻き、ホットボンドで固めたものを使いました。

抵抗値は6Ω程度、インダクタンスは約200uHです。巻き数が多いと、コイル同士の相互作用で特性が変わりやすくなりますし、巻き数が少ないと出力不足になってしまいます。定格電流がやや心配ですが、長時間使わなければ大丈夫でしょう。



▽回路図
02_307_03_gtsimSch.png
実際のギター出力に近い音量を得るには、ドライバーコイルに充分な電流を流すパワーアンプが必要です。以前購入していたTPA3118モジュールが使えそうでしたが、電源投入時の発振やノイズ面の不安があったため、LM3886を使うことにしました。電源は、24Vスイッチング電源を三端子レギュレーターに通し21Vにしたものです。高い出力が必要ないときは、ローノイズな低出力側を使用するのを想定しています。

▽周波数特性・歪率(LPFあり)


オーディオインターフェースSteinberg UR22CのHI-Z入力(入力インピーダンス1MΩ)に接続したときの特性です。高出力側では1Vrms程度の出力を得ることが可能です。VR1は20kΩ、VR2は3kΩあたりに設定してあります。※LM3886は本来ゲイン10倍以上が推奨



【使い方】
ギターを録音した時、その音源には「ピックアップ→バッファ接続の特性」が加味されています。この特性をフラットに補正してから、本機で再生させます。

下図が「ピックアップ→バッファ接続の特性」です。自作バッファを使い、入力抵抗220kΩ、容量最小としました。音量は適宜調整しています。

入力抵抗が大きいと共振ピークの山ができてクセがある形になりますが、100k~220kΩだとその山がなくなり扱いやすくなります。ギターを録音する時も同条件(同じバッファ・同じ入力インピーダンス)にする必要があります。

LPFありの特性データを元に作った補正フィルタが下図です。WaveGeneというソフトのフィルタ機能を使っています。16kHzまでフラットになるようにしました。

このフィルタをかけて再度測定すると、高音域が上がる特性(+6dB/octave)が得られます。そしてLPFを後からかけ(S/N比を良くするため)、最終的にフラットな特性が得られています。


まとめると、[ギター音源] → [ピックアップ・バッファ接続の特性をフラットに補正するフィルタをかける] → [本機で再生] ということです。比較音源をYouTubeにアップロードしました。

おそらく周波数特性は音量と共に経時変化しているので、元の音源と出力された音は違いが出るはずですが、ほぼ同じ音に聞こえます。違いがはっきり分かるという方もいらっしゃるとは思いますが、ピックアップから出る音を何度でも再現できるというのが目的なので、元の音源とかけ離れた音でなければOKということにします。



▽シミュレーション
出力ピックアップの測定値は4.4H、11.8kΩ、130pFでした(LCRメーター DE-5000で測定)。このデータを使ってシミュレーションしてみます。R97、C98はオーディオインターフェースの入力部です。

実測とは少しズレが生じます。これはピックアップ本体に生じる「渦電流(Eddy currents)」の影響が考えられます(参考ページ→The Secrets of Electric Guitar Pickups)。こちらのページでは渦電流用コイルを付けたシミュレーションが検討されています。ただ、そこまで厳密なシミュレーションが必要になることはほとんどないでしょう。

制限抵抗や絶縁抵抗と呼ばれる抵抗成分(R98)も存在しています。これは測定できないので真の値はわかりませんが、1.2MΩにすると共振のピークの形が合います。通常はギター本体のボリュームポットがあるため、この抵抗の影響は少ないです。普段のシミュレーションでは省いても問題ないと思います。



▽パッシブボリューム・トーン

今回のギターシミュレータに直結して使用する想定で、パッシブのボリュームとトーンが入ったものを作っておきました。ボリュームポットの値やコンデンサの値を切り替え可能です。現在の設定値がわかりやすいように、あえてBカーブを使用しています。

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