歪みと波形・倍音その7(各波形の倍音)

Pure Data(Pd)を使うと簡単に信号発生と倍音確認ができますので、メモとしてまとめておきます。



<三角波>
12_207_1tri.png
奇数次倍音がきれいに並んでいます。

<ノコギリ波>
12_207_2saw.png
奇数次倍音と偶数次倍音が両方出ています。

<矩形波>
12_207_3sq.png
ほぼ奇数次倍音ですが、三角波より倍音が多いです。

<矩形波+ハイパスフィルター>(※振幅0.8倍)
12_207_4sqHPF.png
波形が斜めにえぐりとられる感じになります。

<矩形波+ローパスフィルター>
12_207_5sqLPF.png
波形が丸く削られる形になります。ローパスフィルターなので高域の倍音が減ります。

<パルス波>(※パルス波という呼称でいいのか不明)
12_207_6sq60.png
矩形波に似ていますが、プラス側とマイナス側になっている時間の幅の比が1:1(デューティ比0.5)ではありません。上図はデューティ比0.6の場合で、偶数次倍音が出ています。真空管の歪みを調べた際にハイゲインでも偶数次倍音が多かったのは、この波形に近いためかもしれないと考えています。

タグ : 歪み 波形・倍音 

歪みと波形・倍音その6(ダイオードの位置)

歪み系エフェクターでは多くの場合、波形クリップのためにダイオードが使われます。ダイオードクリッパーとかクリッピングダイオードという呼び方があるようです。このダイオードの回路上の位置を変更し、波形・倍音の違いを調べました。

歪みと波形・倍音 記事一覧



▽回路図
12_193_1diodeppxc.png
非反転増幅回路の帰還部分にダイオードを入れる場合をODタイプ、出力にダイオードを入れる場合をDSタイプと勝手に呼ぶことにします。偶数次倍音も出るように、非対称クリッピングにしました。入力は1kHzサイン波、約0.14Vrmsです。音量はDSタイプの方が小さくなるため、各タイプ録音後ノーマライズしています。
※Twitterにて指摘をいただき、回路図左上にコンデンサを追加しました。増幅率を変更し、全データを差し替えています。(2017年8月12日)

▽11倍増幅
12_193_2diodepg11x.png
ODタイプの方が倍音が多そうに見えますが、なんともいえない感じです。聴感上は、ODタイプの方が高域が出ているように感じました。

▽21倍増幅
12_193_3diodepg21x.png
2~6次倍音はDSタイプの方が多く、7次倍音以降はODタイプの方が多いです。聴感上も、ODタイプの方が高域が出ているように感じました。

▽34倍増幅
12_193_4diodepg34x.png
DSタイプの方が歪率が高く、全体的に倍音が多いです。聴感上はあまり違いがわかりません。波形については、どの増幅率でもODタイプの方が丸みを帯びた形になっています。

さらに増幅率を上げていくと、ODタイプは歪率が31%程度で頭打ちになったので、深い歪みは得にくいようです。DSタイプは歪率が上がり続けましたが、波形の角が鋭くなるので、ICの歪みが混ざっていると思います。



・総評(のようなもの)

ODタイプは高次倍音が出やすい(クリアな音に感じる)、DSタイプは低次倍音が出やすい(太い音に感じる)というような傾向がわかりました。LED対称クリッピングでも測定しましたが、同じ傾向のようです。丸い波形になるODタイプの方がなんとなく低域寄りな音になるイメージがあったので、意外な結果となりました。

---以下2017年8月20日追記---

▽LTspiceでのシミュレーション結果(21倍増幅)
12_193_5diodepg21xs.png
入力電圧は0.12Vrmsで同じぐらいの歪率になりました。実測と違う部分はあるものの、倍音の出方の傾向は大体同じといってよいと思います。シミュレーションでも歪みの特徴は充分参考になるようです。

タグ : 歪み 波形・倍音 

Nuverdrive

02_155_1nuverdriveP.jpg
Nutubeという新しい真空管が発売されましたので、久々にエフェクターを作りました。Nutubeを使ったオーバードライブなので、Nuverdrive(ニューバードライブ)という安直な名前です。

Nutubeで作る自作エフェクター・コンテストに応募してみようと思っています。回路図等の詳細はコンテスト審査後に公開する予定です。

---以上2016年11月27日記載、以下2017年1月17日追記---

▽回路図
※あまりオススメできる回路ではないので、参考程度としていただきたいと思います。
02_155_2nuverdriveS.gif
まずせっかくの小型真空管なので、小さいケースに入れてみようと考えました。回路をできるだけシンプルにするため、使用ガイドのFETを省いて無理やり2段直結にしてみます。試行錯誤の結果、アノード抵抗1MΩぐらいでうまく動作してくれました。それでもゲインがトータルで10倍程度にしかならなかったため、前段にブースターを組み込みました。オペアンプはFET入力のもの(TL072等)であれば大丈夫です。バイアス調整トリマーは最もゲインが高くなる位置に調整しましたが、大体真ん中で問題ありません。

<フィラメントについて>
使用ガイドでは、わざわざレギュレータで3.3Vを作ってから抵抗→フィラメントとつないであります。この理由は、電源電圧が多少変動してもフィラメントにかかる電圧が変わらないようにするためだと思います。今回のエフェクターはレギュレータを使用していませんので、必ず安定化された9V電源を使用します(新品の電池を使用した場合、おそらくフィラメントの定格を超えてしまいます)。

▽レイアウト
02_155_3nuverdriveL.png
▽PCB(横35.6mm縦30.5mm)
02_155_4nuverdriveLP.gif
ケースはGarrettaudioのSize S(HAMMOND 1590A類似サイズ)です。一応Nutubeをスポンジではさんだのですが、フットスイッチのカチッという振動が伝わってマイクロフォニックノイズがかなり出てしまいます。Nutubeへの配線が短いのが原因だろうと思います。どうやらこの小さいケースでは無理があったようです。

音については確かに真空管っぽい歪みになっているように思います。しかしながら本当ならNutubeのみでゲインを稼ぎたいところです。エンドウ.氏の作例のようにNutubeを2個使えばよいのですが、それだとあまり小型にできないし、費用もかかります。ということで、新たにハイゲインタイプのNutubeが開発されることを期待したいです。

---以下2017年3月6日追記---

「Nutubeで作る自作エフェクター・コンテスト」で佳作を受賞しました。下記イベント・レポートの動画で音を聴くことができます。スイッチオン時にキーンというマイクロフォニックノイズも出ています。
KORG / Nutube BUILDER SUMMITイベント・レポート

Nutubeとスポンジを取り出した内部写真を撮りました。
02_155_5nuverdrivePP.jpg
Nutubeの向きを変えて配線を長くし、配線材を柔らかいものにすると少しはマイクロフォニックノイズが減るかもしれません。

波形も測定しました。
02_155_6nuverdriveW.gif
丸みを帯びた波形です。思ったより奇数次倍音が出ていました。

タグ : 自作エフェクター 歪み 回路図 レイアウト 波形・倍音 

歪みと波形・倍音その5(RetroValve)

真空管代替部品「RetroValve」(スタンダードゲイン)を購入したので波形・倍音を調べました。

歪みと波形・倍音 記事一覧

RetroValveのメーカーサイト→JET CITY AMPLIFICATION



【Fender Champ Amp AA764改】(12AX7をRetroValveに変更)
(ローゲイン)
12_139_1ChampLowGainRV.gif
真空管使用のときと同様、偶数次倍音が多く出てきています。

(ハイゲイン)※ちょっとゲインが低めだったようです。
12_139_2ChampHighGainRV.gif
真空管使用のときと波形が同じですが、出力管(6BQ5)での歪みかもしれません。



【Tube Drive 200V】(RetroValve使用)
(ローゲイン)
12_139_3TubeDriveLowGainRV.gif
真空管使用のときと同様、偶数次倍音が多く出てきています。

(ハイゲイン)
12_139_4TubeDriveHighGainRV.gif
真空管使用のときより波形が角ばっている感じです。偶数次倍音より奇数次倍音が若干多い気がします。



・総評(のようなもの)

RetroValveは真空管と同じような倍音となることがわかりました。真空管と違って交換が不要で発熱も少ないためとても便利だと思います。中の回路を調べたいところですが、チップ部品が使ってあるので難しいようです。うまく利用すれば良い歪みエフェクターが作れるかもしれません。

タグ : 真空管 歪み 波形・倍音 

歪みと波形・倍音その4(オペアンプ)

TUBUNATORのオペアンプをいろいろ変更して波形・倍音を調べました。

歪みと波形・倍音 記事一覧



【OPA2134】
(ローゲイン)
12_138_1OPA2134LowGain.gif
奇数次倍音と偶数次倍音が同じぐらい出てきています。クリップの仕方に丸みはありません。

(ハイゲイン)
12_138_2OPA2134HighGain.gif
やはり奇数次倍音と偶数次倍音が同じぐらいです。波形も角ばっています。



【TLC272】
(ローゲイン)
12_138_3TLC272LowGain.gif
(ハイゲイン)
12_138_4TLC272HighGain.gif
ローゲイン、ハイゲインともにOPA2134に似た波形になりました。(ただ、このオペアンプは入手しにくいように思います。どこで買ったか忘れました。)



【LM4562】
(ローゲイン)
12_138_5LM4562LowGain.gif
(ハイゲイン)
12_138_6LM4562HighGain.gif
ローゲイン、ハイゲインともに偶数次倍音が全然出ていません。

その他LMC6032、LMC662、NJU7032も調べましたが、LM4562と似たような波形となりました。



・総評(のようなもの)

オペアンプによっては偶数次倍音が出やすいものがあるとわかりました。しかしながら、なかなか真空管並に偶数次倍音が豊富というわけにはいかないようです。トランジスタやダイオードを用いた歪みでは角ばったクリッピングになるためだと思います。やはり真空管の音は他では真似できないということですね。

タグ : 歪み 波形・倍音 

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