■タグ「周波数特性」

■MOS FETリレー G3VM-21GR 特性測定

SPSTモーメンタリースイッチでエフェクトのバイパスをする場合、リレーとマイコンを使うのが簡単だと思います。しかしながらメカニカルリレーは入手性や電力消費の点でイマイチかなと考え、MOS FETリレーを試すことにしました。

MOS FETリレーはソリッドステートリレーの一種で、各メーカーで同様の商品がありますが名称が違います(フォトリレー、Photo MOSリレー等)。参考ページ→オムロン リレー 技術解説
通常のものはオン抵抗RONや端子間容量COFFが大きいため、バイパスに使用する場合はバッファーが必要となってしまいます。そこで今回は低オン抵抗・低端子間容量タイプのG3VM-21GR(RON=5Ω、COFF=1pF)というMOS FETリレーを選びました。エフェクターでよく使われる青い3PDTフットスイッチと比較検討します。
14_222_1G3VMp.jpg
G3VM-21GRは表面実装部品なので丸ピンソケットにはんだづけしました。フットスイッチは同じ大きさの黒いものも測定しましたが、青のフットスイッチと大差なかったので結果からは省いています。

ハイインピーダンス条件下での使用を考慮し、以下の接続としました。
  [擬似ギター出力]→[リレーG3VM-21GR]または[フットスイッチ]→[バッファー(入力インピーダンス1MΩ)]→[PCマイク入力]

スイッチオン時に音質が変化しないのはもちろん重要ですが、スイッチオフ時も下図のようにハイパスフィルターを形成して高域が漏れることが考えられるので、そのあたりについても確認します。
14_222_2G3VMs.png
※配線が近いだけでも容量が増加してしまうので注意が必要です。

▽結果
14_222_3G3VMd.png

<スイッチオン時の特性変化>
周波数特性はほとんど重なっていますが、よく見るとリレーでは高域が下がっています。まぁごくわずかなので大丈夫でしょう。歪率についてはほぼ変化はありません。

<スイッチオフ時の音漏れ>
リレーではオンオフの差が-21dB(10kHz)となっており、ブースターやハイゲインエフェクターでは問題が出てくるかもしれません。エフェクターに組み込んだ後、どの程度影響があるか測定する予定です。フットスイッチでもわずかに漏れがあることがわかりましたが、実際のトゥルーバイパス配線ではオフ時にエフェクト回路の入力をアースに落とすので、問題になることはないと思います。

---以下2018年6月14日追記---
14_222_4G3VMb.png
まず上図上側のバイパス方法を試しましたが、音漏れがあり発振しやすい上、切替時に少しポップノイズが出ました。その後下側の回路に変え音漏れや発振はなくなりましたが、ポップノイズは消えませんでした。スイッチングの順番をいろいろ変えてみましたがダメなようです。バッファーを入れて考え直すことにします。

■スイープ信号を使った周波数特性確認(Pure Data パッチ)

Pure Data(Pd)で様々なフィルターをかけるときに、どんな周波数特性になるか確認しておきたい場合があります。[noise~]と[rfft~]を使うのが簡単ですが、若干ギザギザな形になるのと横軸(周波数)が対数でないので使いづらさを感じていました。そこで、スイープ信号を用いて見慣れた形で周波数特性を確認できるパッチを作りました。

03p_196_3sweep.png
このパッチをダウンロード※上の図よりグラフが大きいです。)

<使い方>
[pd filter]の部分に目的の処理を入れます(今回は[hip~ 100]と[lop~ 2200]が入っています)。STARTの[○]をクリックすると、周波数スイープが始まりグラフが描画され、十数秒で自動的に終了します。count_up_valueの数値を上げると飛び飛びにスイープするため処理が早く終了します。



<解説>
下の方にある[env~ 2048]は常に1024サンプルごとに音量の数値を出力し、それにより[t b f]の左アウトレットからbangが出続けています。スタート前は[spigot]でそのbangがせき止められていますが、スタートして[spigot]の右インレットに1が入ることでせき止められていたbangが出力され始めます。

そして[+ ]からカウンターと同じ数値が出力され、この数値を元に計算された周波数の余弦波信号が[osc~ 20]から出力されます。その後[pd filter]を通った後の信号の音量が[env~ 2048]から出力され、Array "sweep"に書き込まれます。途中の[*~ 0.00044722]は、変化がないときの音量を30dBに合わせるためのものです。また、[clip 0 60]はデータがグラフの枠からはみ出さないように入れています。

カウンターには[f 1]内の数値が足されていき、533以上の数値になったとき[spigot]の右インレットに0が入り終了となります。



当初は[metro]を使ってbangを出力し続けていたのですが、[env~]の出力を利用する方が無駄がない気がして変更しました。Arrayのサイズは534と中途半端ですが、なんとなくグラフの大きさは500程度がちょうどいいかなと思って調整した結果となっています。

■積層セラミックコンデンサの特性メモ

積層セラミックコンデンサ(MLCC)の特性については村田製作所ウェブサイトのコンデンサPLAZAに記載されています。それによると、高誘電率系MLCCは温度・時間経過・DCバイアス・AC電圧といった各条件により容量が変化してしまうということです。電源部分によく使われるMLCCですが、今回はハイパスフィルタ(HPF)・ローパスフィルタ(LPF)で使用し、さらにDCバイアス電圧をかけて特性を測定してみます。

10_191_1mlccp.jpg
今回使用したMLCCは高誘電率系の耐圧50V、F特性(JIS規格)のものです。たぶんEIA規格ではY5V特性に近いだろうと思います。実測値約94nFのもの2個を使いましたが、測定値はすぐ変動するためあまりあてになりません。比較用にフィルムコンデンサも準備しました。実測値はそれぞれ103nF、103nF、82nF(34nF+48nF並列)、82nFです。

▽回路図
10_191_2mlccs.gif
C1とC2を変更します。電圧は0V(GND)、4.5V、9Vの3パターンですが、フィルムコンデンサは電圧による容量変化がほとんどないので、0Vのみの測定です。電圧を変えてすぐは値が安定しないため、数分放置してから測定しました。PCの出力は約1Vrmsです。

▽結果
10_191_3mlcc.gif
<周波数特性>
0V、4.5Vの場合は103nFのフィルムコンデンサと比較すると高域側(LPF)で差がやや大きくなっています。9Vだと82nFのフィルムコンデンサよりズレていて、かなりの容量低下となるようです。X7R特性であればもっと容量変化は少なくなると思います。
<歪率>
バイアス電圧が高い方が歪率が悪化しています。低域は特に悪化していますが、もともとレベルが下がっている部分なので音への影響はそれほどないかもしれません。むしろ倍音が増えていい感じになるかもと思いMLCC10個直列や並列での測定もしてみましたが、歪率はほとんど変わりませんでした。

エフェクターに使うコンデンサとしてはやはりフィルムコンデンサが無難で、無理にMLCCを使う必要はないでしょう。一応省スペースで若干安いという利点はあるので、自分用のエフェクターには適宜使っていくと思います。

■オペアンプで音は変わるのか

他の測定でわかった通り、歪率や周波数特性の測定はあまり意味がない気がしますが、失敗例として記事にしていこうと思います。音の変化には歪率や周波数特性以外の何らかの特性が関係していて、それは結局自分の耳で確かめるしかないのだろうと思います。

サウンド・クリエイターのための電気実用講座」という書籍の中で、オペアンプの比較試聴テストについて記載があります。それによると、アナログ録音・完全なブラインドテストで、オペアンプによるサウンド・キャラクタの違いは明確にわかったとのことです。歪率や周波数特性についても違いが出てくるのか比較してみます。

使用したオペアンプは以下の3種類です。
10_186_1OPp.jpg
・NJM4558DD (1個20円)
・TL072CP (1個85円)
・OPA2134PA (1個300円)

▽回路図
10_186_2OPs.gif
電気実用講座では増幅率11倍でしたが、差が出やすいよう110倍にしました。PCの出力は約0.3Vrmsです。

▽結果 ※縦軸をかなり拡大
10_186_3OPf.gif
(10kHz付近をさらに拡大)
10_186_4OPfk.gif

4558の10kHzの歪率が少しだけ悪くなっていますが、他は差がなさそうです。周波数特性はほぼ重なりました。もっと増幅率を上げれば少しは差が出てくるかもしれません。高域では4558と072が約0.02dB下がっている程度で、ごくわずかな違いとなっています。オペアンプの性能を改めて実感しました。

■タグ : 周波数特性 歪率

■コンデンサで音は変わるのか LPF・HPF編

他の測定でわかった通り、歪率や周波数特性の測定はあまり意味がない気がしますが、失敗例として記事にしていこうと思います。音の変化には歪率や周波数特性以外の何らかの特性が関係していて、それは結局自分の耳で確かめるしかないのだろうと思います。

ローパスフィルタ(LPF)、ハイパスフィルタ(HPF)回路でコンデンサの比較を行いました。コンデンサは以下の4種類です。
10_185_1capLHp.jpg
・Supertech Electronic 積層セラミックコンデンサ 実測値0.95μF 50V 温度特性:Y5V(1個10円)
・日本ケミコン SME 両極性アルミ電解コンデンサ 実測値1.03μF 50V 85℃(1個21円)
・Garrettcap GBQ メタライズドポリエステルフィルムコンデンサ 実測値1.0μF 100V(1個50円)
・Vishay/Roederstein MKT1817 メタライズドポリエステルフィルムコンデンサ 実測値1.03μF 63V(1個200円)

PCの入出力インピーダンスの影響を受けますので、回路は下図のようになります。カットオフ周波数が1kHzぐらいになるようにしました。PCの出力は約1Vrmsです。また、理想的なコンデンサでのLTspiceシミュレーションも行いました。
10_185_2capLHs.gif

▽LPF結果
10_185_3capLPF.gif
▽HPF結果
10_185_4capHPF
Garrettcapとシミュレーションとの周波数特性が全く重なりました。MKTはわずかにズレていますが、静電容量の違いのためだと思います。

積セラはやはり歪率が悪くなっていますが、周波数特性自体はそんなに問題ない感じです。高域がギザギザになっているのは、歪み成分のせいだと思います。

電解コンデンサも歪率が悪くなるのかと思っていましたが、大丈夫なようです(測定限界)。周波数特性はフィルムコンデンサと1dBぐらいズレていて、若干違った特性のように見えます。ただ電解コンデンサは普通のテスターだと容量測定誤差が大きくなるらしいので、測定値があまりあてにならないようです。

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