BOSS WAZA CRAFT SD-1W SUPER OverDrive 解析


BOSS BD-2Wに引き続き、SD-1Wを解析しました。KiCadデータ(基板画像入り)とLTspiceの回路図データはGitHubにあります。



▽回路図
BOSS SD-1W schematic
BD-2Wでは、オペアンプの増幅となっている部分がディスクリート構成へと変わっていました。今回のSD-1Wでも同様の回路となっており、特に目新しい部分はないようです。オペアンプ2回路分の増幅に、カスタム・モードでもう一段増幅部が追加されています。



▽シミュレーション
  • 初段増幅部(DRIVE 0% → 50% → 100%)

    カスタム・モードでは増幅率が上がります。DRIVEが低い時以外は周波数特性の変化が少ないです。

  • カスタム・モードで追加された増幅部

    低音~中音域あたりが増幅されています。+2dB程度なので、あまりわかりやすい変化ではないかと思います。



【未実装の部品】

基板上には未実装の部品が多数あることが確認できます。KiCadファイルでは未実装の部品(Empty表記)も載せています。

ジャイレータ(シミュレーテッドインダクタ)等が構成されていて、周波数特性を変化させる検討をした様子をうかがい知ることができます。しかしながら結局は未実装になったということで、元のSD-1からそれほど離れない方がよいと判断されたのだろうと思います。


タグ : 市販エフェクター 回路図 歪み 周波数特性 

amPlug Classic Rock 解析


ジャンク品として手に入れたamPlug Classic Rockを解析しました。KiCadとLTspiceのデータはGitHubにあります。※amPlug2ではなく、旧機種のamPlugです。



▽回路図
VOX amPlug ClassicRock Schematic
公式ページに「UK製100Wアンプのハイゲインサウンド」と記載があるので、マーシャルアンプを意識していると思われます。多段増幅・多段クリッピングになっているのが特徴的です。TONEの後段は、キャビネットシミュレータだと思われます。電源は5Vに昇圧させてあり、供給電圧が2Vを下回ると電源部LEDが消灯するようになっています。



▽シミュレーション
  • 増幅部 (GAIN 1%→50%→100%)

    C67はGAINを下げた時に高音域を通過させる働きがあり、通常のアンプではBRIGHTスイッチとなっていることが多いです。非反転増幅回路が4段ありますが、そこでの低音域のカットはそれほど大きくありません。ダイオードクリッピングは非対称で、オペアンプでの歪みも加わっています。

  • TONE 0%→50%→100%

    C80~C82あたりがマーシャルアンプにあるトーンスタックと同等の回路です。MIDは40%、BASSは70%ぐらいに固定で、TREBLEのみ動かす形となっています。後段にあるC83とR89の影響で、高音域が低下し複雑な動きになっています。このような抵抗とコンデンサはMarshall Schematicsというページでは見つかりませんでしたが、MESA Boogie Dual Rectifier等、他のメーカーでは入っているものがありました。

  • キャビネットシミュレータ

    トランジスタによるジャイレータ(シミュレーテッドインダクタ)を使った増幅と、オペアンプ正帰還型ローパス・フィルタです。アナログのキャビネットシミュレータを設計したい場合参考になる回路だと思います。実物のインパルスレスポンスよりも低音域が大きくなるよう設計してあるようです(参考ページ→DTM 宅録用にアナログキャビネットシミュレータを自作)。

---2024年2月25日追記---

別のジャンク品を入手したので、キャビネットシミュレータ部分の部品を取り外す等の改造を行ってペダル化しました。ヘッドフォンの接続はできません。アンプライクな歪みとして使えそうな感じです。

あまりしっかりしていませんが、ホットボンドでなんとか基板を固定しています。ケースは、エフェクターケース製作用基板を使いました。

タグ : 回路図 歪み 周波数特性 市販エフェクター アンプ 

VEMURAM Karen 解析


VEMURAMのエフェクターは、基板の一部がモールドされていることが知られています。今回は比較的部品数が少ないKarenが手に入ったので、解析に挑戦してみることにしました。

基板は4層で、トップ面と底面は一面ベタグラウンドになっています。おそらく配線を隠すためでしょう。トップ面と底面の銅箔を削り取るのはなかなか大変な作業でした。KiCadデータ(基板画像入り)、LTspiceの回路図データはGitHubにあります。



<モールドとの闘い>


ICやFETらしきもの、クリッピングダイオード周辺回路が黒いモールドに覆われています。このモールドは、燃料用アルコールに漬けると少し柔らかくなりました。

ICは燃料用アルコールに漬けた後に爪で削るとうっすらと文字が見え、RC4558Pだとわかりました。

FETらしきものも同様に表面を慎重に削りましたが、型番は出てきませんでした。パーツアナライザで調べると、NPNトランジスタだとわかりました。このトランジスタはグラウンドだけに繋がっていて(下写真)、特に意味はないようです。公式ページでも「Transistors: N/A」という記載となっています。


モールドは熱で溶け、ニオイはキツくなかったので、半田ごてを使って削り取っていきました。しかしこれは失敗で、抵抗の表面が削れたりダイオードが破損したりしてしまいました。

抵抗はジャンパーで、破損がなかったダイオードはBAT85Sという印字が見えました。破損したダイオードは「AT」の文字が見えたので、破損がなかったダイオードと同じ型番と判断しました。回路図の記号を変更し忘れていますが、ショットキーダイオードです。




▽回路図
Vemuram Karen schematic
オペアンプの非反転増幅で構成されています。C6は「Tri-sound」表記のコンデンサ(下写真)で、特注品のようです。回路図には実測した容量を記載しました。


Gain widthトリマーは、Gainポットに並列に抵抗を入れて調整幅を変えるという仕組みです。この場合、Cカーブのように最小値側でゲインがすぐに上がる状態になるため、あまり調整しやすくないように思います。



▽シミュレーション
  • 回路全体 (Gain width 100% Tone 50% Gain 0%→50%→100%)

    TUBE SCREAMER(DRIVE 100% TONE 50%)、ProCo RAT(DISTORTION 100% FILTER 50%)を参考として掲載しました。Karenは少し低音域側に寄った特性となっています。

  • Tone 0%→50%→100%

    BJF設計のペダル(→ANODIZED BROWN DISTORTION 4K)等で見られるトーンコントロール回路の形ですが、C12があることにより高音域が盛り上がった特性になっています。

---2024年1月30日追記---

PedalPCBのフォーラムで、別の個体のクリッピングダイオードもBAT85Sであることが確認されました。ただ、ダイオードの片方が最初から壊れていたとのことでした。実は私が解析した個体も、分解前からD1が壊れていました。これは偶然の一致なのでしょうか…。

そこでさらに別の個体を入手しました。ロット番号からすると初期に近い個体のようです。

この個体はダイオードは壊れていませんでしたが、R5が22kΩでした。考えられるのは、あるロット以降では片方のダイオードが意図的に破壊され、歪みにくくなったためにR5が150kΩに変更されたという可能性です。意味のないトランジスタを実装するくらいなので、このようなことが行われるのもあり得るように思います。

タグ : 市販エフェクター 歪み 回路図 周波数特性 

WAY HUGE WHE208 OVERRATED SPECIAL 解析


WAY HUGEは有名エフェクタービルダーJeorge Tripps氏のブランドで、何か一つ解析してみたいと思い、OVERRATED SPECIALを中古で入手しました。KiCadとLTspiceのデータはGitHubにあります。



▽回路図
WAY HUGE OVERRATED SPECIAL schematic
基板が2枚あり、回路図の上半分が黒いメイン基板上の回路です。下半分が赤い基板上のリレーバイパスと電源関係の回路ですが、あまり動作を理解できていません。電源供給が断たれた時、バイパス状態になるように設計されているようです。

メインの回路は、大部分がチューブスクリーマーと同じとなっています。主な違いは、500Hzコントロール部追加、バイアス電圧が高め、バイアス電圧部のコンデンサ容量が小さいといった所です。また、トーンのポットがCカーブなので、操作感が違っています。

TONE最大・最小時は同じで50%時に高音域寄りになりますが、思ったよりバランスがよいコントロールに感じます。

500Hzコントロールは、実測・シミュレーションではなぜか900Hz付近の増減となっています(下図)。

周波数に関係するコンデンサはC15とC16、抵抗はR23とR24です。これらが前の所持者により交換されている可能性を考え、他の個体の内部写真を検索しました。コンデンサは同じ値なのを確認できましたが、抵抗については明瞭な画像がなく値がわかりませんでした。再度半田付けしたような痕跡はない(下写真)ので、やはり元々こういう設計なのだろうと思います。

同時期に発売されたGREEN RHINO MKIVに500Hzコントロールがあるので、これを発展させた結果周波数が変わったのかもしれません。後発のSmallsシリーズのWM28では「freq」という表記に変わっているので、こちらも周波数は500Hzではない可能性が高いと思います。


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MXR M299 CARBON COPY MINI ANALOG DELAY 解析


通常バージョンのCARBON COPYに引き続き、CARBON COPY MINIのジャンク品も手に入ったので解析することにしました。KiCadデータ(基板画像入り)はGitHubにあります。



▽回路図
MXR Carbon Copy Mini Schematic
幸いにも通常のCARBON COPYからほとんどの部品番号が変わっておらず、トレースはそれほど苦労せずに済みました。主な変更点は、ブライトスイッチ周辺と電源部です。BBD入力部の抵抗(R43、R54、R63)が27kΩ→10kΩになっているので、若干低音域のカットに影響しているかもしれません。

下図はSA571のデータシートから抜粋した内部回路の一部です(赤字はピン番号)。反転増幅のようになっています。

ブライトスイッチは、5ピン・6ピン側の抵抗とコンデンサを調整することで高音域側を強調する仕組みになっていると考えられます。

R48を外し、ディレイ音の周波数特性を測定しました。通常のCARBON COPYの時と同様ホワイトノイズを使用しています。

ディレイタイムが長い時、ブライトスイッチによる変化は少ないように見えます。(コンパンダのせいでうまく測定できていないかもしれません。)



【修理】
ディレイ音が出ない状態だったので調べていくと、SA571の出力レベルが低かったので交換しました。トレースの際に付け外ししたので、その時の熱が原因で壊れた可能性があります。SA571交換後、またも不調になったので調べると、表面実装トリマーとタンタルコンデンサに不良のものがありました。念のため、全てのトリマーとタンタルコンデンサ・電解コンデンサを交換することにしました。販売開始(2019年)からそれほど時間が経っていない割にジャンク品が出回りやすいような気がするので、あまりパーツの質が良くないのかもしれません。

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