Reincarnation Chorus


デジタルディレイIC PT2399を使ったコーラスを昔設計しようとしてあきらめたことがあり、再挑戦ということで製作しました。PT2399自体の解説についてはElectroSmash - PT2399 Analysisや過去記事(PT2399 周辺コンデンサ検討)をご参照ください。

PT2399の6番ピンを使ってディレイタイムを適切に揺らすのは困難だったので、2番ピンへLFOを接続するLittle Angel Chorusをベースに考えました。ただほとんど別物になったため、Reincarnation(生まれ変わり)という名前としました。

▽回路図・レイアウト(KiCadデータはGitHubへ)


(実際は基板発注しましたが、ユニバーサル基板で製作可能なレイアウトとしました。)
  • 入力・出力
    入力部がオペアンプの反転入力なのは気分的に嫌なので、非反転の入力バッファとしました。出力は普通のミキサー回路で、念のため音量調節トリマーを設けています。

  • LFO(Low Frequency Oscillator)
    BOSS CE-2とほとんど同じLFO回路です。揺れが速い方はあまり使わないので、RateポットはAカーブにしました。三角波による揺れなので、クセがないかかり方だと思います。LFO用オペアンプを5V駆動とし、PT2399へコンデンサなしで接続していますが、PT2399の内部回路が不明確なので安全ではないのかもしれません。

  • クロックノイズ対策
    LFOがあるエフェクターでは揺れの周期に合わせたノイズ(クロックノイズ)が聞こえる場合があり、ポットへの配線を短くしたり、部品レイアウトに注意したりする必要が出てきます。また、LFOに使うオペアンプは低消費電力のものを使うのが普通です。今回はTL072でもクロックノイズは聞き取れませんでしたが、TL062やNJU7062、NJU7032を使うとよりよいでしょう。※ニセモノのPT2399ではクロックノイズが出てしまうことがあるので、本物と思われるものを使う必要があります(参考→いろいろなPT2399)。

  • ディレイ音のローパスフィルタ(LPF)・ハイパスフィルタ(HPF)
    通常アナログコーラスではディレイ音に2次や3次のLPFが使われますが、シンプルさを優先して1次LPFとしています。アナログコーラスと同じ音にはならないということになりますが、特に出音に違和感はありません。C3またはC4で高音域調整(LPF)、C2またはC5で低音域調整(HPF)ができます。

  • ラッチアップ防止回路
    ディレイタイムをできるだけ短くするため、PT2399の6番ピンをアースに直結したいところです。しかし、電源オン時に6番ピンとアース間の抵抗値が小さすぎると動作しなくなる(ラッチアップ)可能性があるため、これを防ぐ回路が6番ピンに接続されています。使用するトランジスタは汎用のものなら(ランク含め)基本何でもOKです。この回路についてもPT2399 Analysisに解説があります。また、6番ピンとアース間の抵抗値が100Ω以下ではディレイタイムは減らないと同ページに記載がありますが、実測では1msディレイタイムが減りました。ただし消費電流が増えてしまい、全体の消費電流は38mAとなっています。

  • 最短ディレイタイムの壁
    PT2399の最短ディレイタイムは30msのため、原音とディレイ音の分離感が感じられる場合があるかもしれません。ビブラートにする場合、原音なしなので音が30ms遅れて出る状態(高レイテンシ)になってしまい、使いにくいと思います。フィードバックを入れてフランジャー的に使用することも考えられますが、フランジャーのディレイタイムは通常もっと短い(10ms以下)ため、これも無理があるでしょう。

  • HT8970への換装
    前回記事(HT8970 特性測定)の通り、PT2399をHT8970へ差し替えて最短ディレイタイムを17msにすることができます。少し特性が違うので、C13とC14を100nF→47nFに、R20を4.7kΩ→2.2kΩにするとよさそうです。

---以下2021年9月14日追記---

Rate、Depth両方が最大の状態だとボツボツというクロックノイズが聞こえることがわかりました。どちらか一方を少し下げての使用をお願いします。

▽Rev.B基板(基板販売ページはこちら

基板の再販にあわせて新たに作り直しました。ポットの向きが以前と違い上下逆さまですが、各配線をやりやすくしています。また、LEDとR23(LEDの電流制限抵抗)を基板に配置することが可能です。「LED-」表記のパッドにLEDのカソードが接続されています。

タグ : 自作エフェクター 回路図 レイアウト コーラス 

ビブラート/コーラス(Pure Data パッチ)

ディレイの時には[delread~]からディレイ音を出力させましたが、ディレイタイムを連続的に変化させる場合は、[vd~](variable delay)を使います。LFOで周期的にディレイタイムを変化させると、ディレイ音の音程が揺れてビブラートがかかり、原音とビブラート音を足せばコーラスとなります。
03p_202_1chorus.pngこのパッチをダウンロード
LFOの出力はトレモロの時と同じ三角波ですが、abs関数を使うと簡単になると気づいて式を変更しました。出力範囲は0~1で、[*~ ]により振幅が調整されます。[+~ 3]を入れているのは、[vd~]の最短ディレイタイムが64サンプル分(44100サンプリング時1.5ms)となっているためで、一応余裕をみて3ms足しています。

ビブラート音をフィードバックさせればフランジャーとなりますが、いまいち数値の調整がうまくいきませんでした。今後使いたくなったときに作るかもしれません。



【depth計算について】

通常のコーラスエフェクターは、揺れのスピードを遅くすると効きが浅くなります。今回のdepthコントロールでは音程を変える幅が設定され(いわゆるデチューン機能)、rateを変更しても効果が変わらないようにしました。具体的には、最大で約25centピッチが変化するように調整しています。

詳しい原理は省くとして、例えば1000Hzの信号に可変ディレイをかけるとします。1秒間かけて徐々にディレイタイムを0から100msに変化させたとき、ディレイ音は100Hzズレて900Hzの音になります。同様に、0.5秒間かけてディレイタイムを0から25msへ変化させたとき、ディレイ音は50Hzズレて950Hzとなります。このように、比例計算によって周波数の変化幅を調節できます。

タグ : PureData ビブラート コーラス 

ARION SCH-1 STEREO CHORUS 修理

14_126_1SCH1a.jpg
ARION SCH-1 STEREO CHORUSをジャンクで入手したので修理しました。

ジャンク扱いの理由は「音×」となっていました。確かに一応音は出ますがガサゴソ音が出たり音が小さかったりするようです。ジャック部分を掃除して、電解コンデンサを交換するとあっさりと直りました。

私はビンテージ物に興味はないので改造しました。使わないトーン部分やステレオ機能を省き、中身がスカスカになっています。そのうちさらに改造するかもしれません。



ARION STEREO CHORUSについてメモしておきます。

現行品は型番SCH-Zでスリランカ製、以前こちらの記事で回路について書いています。SCH-ZDという代理店オリジナルのモディファイモデルも発売されています。

型番SCH-1のものは旧型で現在は製造されていませんが、いまだに人気らしいです。ケースが灰色のものが初期の日本製で、基板を見ると「PRINCE JAPAN SCH-1a」と書いてあります。ケースが黒色のものは後期のスリランカ製のようです。現在出回っているSCH-1の回路図はおそらく後期型で、私が今回入手した初期SCH-1から少し回路が変更になっています。具体的にはR60、R61、C39、C40あたりの部品が追加されています。音に関してはあまり影響はないと思います。

SCH-ZとSCH-1との大きな違いはトーン回路のようです。コーラスエフェクターは原音にビブラート音を混ぜることによって効果を得ますが、SCH-Zではビブラート音に対しトーン回路が働き、SCH-1では原音に対しトーン回路が働きます。トーン回路自体も違うものが使われています。

タグ : 市販エフェクター コーラス 

ARION SCH-Z改

02_69_1SCHZzP.jpg
以前作ったZombie Chorusですが、ノイズ対策の改造をしてちょっと歪んでしまっていましたので、分解して代わりに別のコーラスを入れました。

▽回路図
02_69_2SCHZzSch.gif
Garrettaudioで安く売っているV3207とV3102を使ってみたかったので、ARION SCH-Zをベースにしています。フィルター部分はBOSS CE-2をマネしました。出力が反転していますが、Small Cloneもそうなのでまぁいいでしょう。念のため音量調整トリマをつけています。トランジスタは2SC1815でもよさそうですが、レイアウトがやりにくいため2N5088です。

▽レイアウト
02_69_3SCHZzL.png
▽PCB(横58.4mm縦48.3mm)
02_69_4SCHZzLP.gif
MXRサイズに何とか収めました。コーラスのかかりはC16(47p)を大きくするかR19(68k)を小さくするとエグくなります。私はソケットにしておきました。クロックノイズが怖いので、ポットの配線は最短にしておきます。また、電源周辺のコンデンサを100uにしています(100uのストックがたくさんあったのもありますが)。まぁこれは47uでも大丈夫かもしれません。

音はというと、やはりARIONのものと大して変わらない気がします(今アリオンのは手元にないのでよくわかりません)。フィルター部分はCE-2なのでCE-2に近い音かもしれません(CE-2を使ったことないのでよくわかりません…)。上に書いた部品の交換でいろいろセッティングできます。部品が込み合っているのですが、クロックノイズはないようで良かったです。全体のノイズも減ったと思います。

タグ : 自作エフェクター コーラス 回路図 レイアウト 

PT2399 Chorus

この記事は2009年の古い記事で、現在ではPT2399の2番ピンを利用したコーラスがあります。ElectroSmash - PT2399 Analysisや別記事(Reincarnation Chorus)をご参照ください。(2021年8月23日追記)



Rebote Delayに使われているPT2399というディレイ専用のデジタルICがあります。これを使ってコーラスを作ってみようという案です。

コーラスは簡単に言うと「ディレイタイムを周期的に変化させるディレイ」です。単純にRebote DelayにLFO(Low Frequency Oscillator:低周波発振器)を入れてやれば出来そうな気がします。

DIYstompboxesというサイトでEcho Baseという同じ発想のエフェクターの回路図があったと思うので気になる人は探してみてください。

とりあえずブレッドボード上でPT2399のデータシートにある回路を組んでみました(ありあわせの部品なので多少値は違いますが)。でも低インピーダンスじゃないとダメみたいで前にバッファを入れます。そしてデータシートのように抵抗値とディレイタイムの関係を測定してみました(下グラフ)。
14_42_1Dtime.gif
比例関係にあるのがわかります。Y軸切片からディレイタイムの最小値は約30msのようです。そこから5kΩごとに約60ms増えていく感じです。コーラスに使うにはギリギリのディレイタイムかもしれません。

抵抗値があまり0に近すぎるとノイズが入るようです。TONEPADではそこらへんを考えているのかも。あと、ディレイタイムを長くするほど、リピートを重ねるほどディレイ音が歪んできます。50kΩ(630ms)ぐらいが限度でしょう。

でLFOをつけてみます。LFOによる電圧の揺れを抵抗値の揺れに変換するわけですが、それにはトランジスタやフォトカプラが使えそうです(私もよくわかってないですが…)。

LFOはZombieChorusのを使ってみました。そしてEcho Baseに倣ってFET(2SK30ATM-GR)を使ってみました。するとコーラス音が出ました!しかしDepthのポイントがすごく狭いです(ほとんど一点)。

今度はフォトカプラ(TLP521)を使ってみました。やはりコーラス音は出るんですが、ポイントが狭いです。

どうやら結構シビアな調整が必要なようです。私はLFOのことを全くわかってないので、勉強してから再挑戦したいと思います。どうせなら変態的にしてみたいところです。

<以上2008年4月8日、以下2009年1月4日追記>

しばらく放置していましたが、Rebote Delay 2.5にEcho BaseのLFOをつけてみました。
14_42_2LFOs.gif

トリマーを2kぐらいに合わせるとコーラス音が出ました。でもやっぱり普通のアナログコーラスの音のほうがいいです…トリマーなしでRebote Delay 2.5のディレイポットを使うとディレイ音にモジュレーションかかって怪しい音が出せますので、これはこれでよいかもしれません。

というわけで結局コーラスを作ることは失敗に終わりました。そのうちgarrettaudioで安く手に入るV3102とV3207を使って(できればMXRサイズで)コーラスを作ってみたいと思います。

タグ : コーラス 

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